2008年6月3日火曜日

表現すること

ピアノの先生仲間から質問されました。「最近自分の生徒達の演奏が皆似てしまっている。生徒の個性を大切にするために希先生が指導で大切にしていることは何ですか?」この質問にすぐに自信を持って答えられる程、自分は優れた教師ではないし、キャリアもあまり積んで来ていない。何せ20代の若造ですからね。この世界じゃペーペー。でも、折角の機会。自分なりに整理し、考えてみました。
個性を出すという事は、自己表現につながりますね。私の生徒は良くも悪くも自己主張が強いタイプが多いのです。曲も、「こう弾きたい!」ってうるさいくらいどんどんアピールしてくる子が多いので、幸い演奏が似てしまうことはあまり無いです。他の悩み事はあるけど^^;
でも中には、大人しい子がいて、指摘したことは直せるし、ちゃんと弾けてはいるんだけどどうしても受け身になってしまい、堅い、抑揚のない演奏になりがちで表現するのが苦手なのかな?と思う子もいます。性格的なもので、ずいぶん左右されますね。こういうお子さんの場合は特に、弾くのと同じくらいお話する時間を作ります。
曲のイメージを明確に持つために、お話を作ってもらう。曲の性格や変化などの細かい事まで話し合う。「ここはどんな感じ?どんな風に弾いたら素敵かな?」などよく質問する。その子が、レスポンスしてくれたら大げさな位に共感してあげる。最初は照れて、モジモジしていた子でも、徐々に「雨のしずくがポトンポトンと落ちてくるようにきれいな音で弾きたい」などと言ってくれます。そこから話を膨らませて、「じゃあ、雨のしずくが落ちてくるように弾くにはどうすればいいかな?」と、その子と一緒に方法を考える。そこから、それを演奏するために必要なテクニックの指導に結びつける。こういう事を何度も繰り返す事によって、どんな生徒さんでも、ある程度は主体的な演奏をしてくれるのではないかと思っています。ピアノでも絵でも、芸術は訓練が必要。でも、ただやみくもに訓練して、先を急ぐことばかり考えるのはあまり良い事だと思いません。自分の中に良い感性を培い、自信を持って表現できるように、一つ一つ、じっくり取りくませる、そう指導していきたいと思っています。

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